シンガポールが歴史的に水の確保や再利用に注力していることはよく知られている。Bishan Parkは2011年に Active, Beautiful, Clean Waters(ABC Waters)というガイドラインの下に再生された公園であり、以前のコンクリート三 面張りの河川を自然に近い状態に再生したプロジェクトとして、近年日本でも注目を集めるグリーンインフラのひと つの事例としても紹介されている。
設計については、本シリーズの第三回で紹介したPortlandのTanner Springs Parkを手がけているAtelier Dreiseit(l 現 Ramboll Studio Dreiseitl)が関わっている。両者を水の流れという視点から考えれば、Tanner Springs Parkはひとつの 敷地内で完結しているという側面が強い一方で、Bishan Parkはより広域的な都市の中での水の流れを構築していると いう側面が強いであろう。
敷地西端は貯水池と連結するカラン川の上流になっており、河川は周辺からの雨水を集めながら東に向かって流れ ていく。シンガポール滞在中に数回経験したスコールの後では、実際に敷地各所に散見される雨水溝から水が集まっ てくる様子も見ることが出来た。また、橋の上からは、緩やかに蛇行している河川の中に多くの魚が泳いでいるのが見 え、再生以前のコンクリート三面張り河川の面影は感じられない。週末になると、所々に設置されている広場では、コ ミュニティー活動やイベントが開催されており、飛び石が配置されている場所では、子供たちが水に入って遊んだり 小さな魚を採ったりしていた。
河川から歩道への斜面は緩やかに設計されている箇所が多く、歩いていると水と近い感覚を覚えるが、流量増加時 には遊水池として機能することは有名であり、水位が3mの地点には多くのサインが設置されていた。また、園路の 所々には、河川側に迫り出したデッキが設置されていて、通常時は見晴らし台や体操の場所として使用されているが、 非常時には救助の為に使用されるのではないかと考えられる。この迫り出したデッキも高さがほぼ3mになっており、 増水時を想定した対処ではないかと感じられた。
実際に、敷地の西端から東端までの約3kmを歩いてみると、西側はバイオフィルターを用いているビオトープや水 で遊べるプレイグランドを含めた施設があり、東側は、カフェ、スパ、ヨガスタジオなどが存在するなど、多様な利用 者を想定している。園路はランニングコースとしても使用されており、週末の早朝や夕方には多くの人がランニングを 楽しんでいた。ひとつ気になる点があるとすれば、交通量の多い片道4車線の道路によって公園が西部と東部で分断 されていることであろう。水と緑は連続しているものの、東西の公園を行き来する為には、人は一度交通量の多い交 差点で横断歩道を渡らなければならないのは少し残念に感じられた。
水問題に注力してきたシンガポールは、雨水取集、輸入、再生水、海水淡水化という4つの国家的な水供給手段を構 築している。雨水取集の部分に関しては、雨水収集域として機能している国土を現在の60%から90%に拡大すること を目標としており、Bishan Parkのような再生プロジェクトが今後も増加すると考えられる。グリーンインフラ導入の黎 明期にある日本においても、Bishan Parkのようなコンクリート三面張りの河川を既存の公園と合わせて再生させ、都 市スケールの水循環システム構築の一部としても機能しているプロジェクトから学ぶことは少なくないであろう。
Singapore is well known for water supply and reuse. Bishan Park was redeveloped in 2011 under the Active, Beautiful, Clean Waters strategy in Singapore. This river next to the park called the Kallang River used to have concrete river wall but now it is redeveloped in a natural way and became a part of the park. Also this project has been introduced as one of the successful green infrastructure projects in Japan.
Atelier Dreiseitl (Current Ramboll Studio Dreiseitl), which is the same design firm…