ランドスケープ=鳳コンサルタント株式会社 環境デザイン研究所
文=石井祥子(鳳コンサルタント株式会社 環境デザイン研究所)
写真=鳳コンサルタント株式会社 環境デザイン研究所、中島真吾/エスエス*
豊洲駅前に位置する、商業・オフィス・ ホテル、地域供給エネルギーセンターによ る複合施設「豊洲ベイサイドクロス」のラン ドスケープデザイン。海との関係性が強い 当敷地において、歴史をつなぐ、海と街を つなぐ、海を感じる風景をつくるという3つ のテーマを元に、「臨海部の新たな玄関口に ふさわしい、海と街をつなぐ賑わい交流拠 点の形成」を目指した。
歴史をつなぐ -湿地から埋立地へ・産業遺構の継承-
かつての豊洲周辺は湿地で小島が点在し ており、その後埋め立てが始まり、水運に 恵まれた立地を生かし造船業が発達した。 それらの歴史を読み取り、海を表現した波 のモチーフの舗装パターンをベースとし、 その上に緑の島(ISLAND)と、船型の滞留 空間(SHIP)を点在させることで、この地の 原風景でもある海との関係性がより深い風 景を創出した。 また、埋立後の造船所であっ た際に敷設されていた、鉄道敷きを想起さ せる大きな弧によるラインで舗装を切り替 える計画とした。この敷地を縦断し、ブリッ ジを介して海辺の豊洲公園へとつながるラ インは、産業遺構として歴史を継承すると 共に、人々を海へと誘うことを意図したもの でもある。
海と街をつなぐ -緑豊かな賑わい交流拠点-
街への来訪者や周辺住民、オフィスワー カー等、多様な人々が利用する魅力的なラ ンドスケープデザインの創出を目指すこと から、交流の拠点となる緑豊かな多様なテ ラスを計画した。各テラスはヒューマンス ケールのデザインを図り、駅出入口からの アイストップとなるゲートテラス、人工芝の プレイエリアとなるケヤキテラス、花見の縁 台となるサクラテラス、緑を囲むオリーブテ ラス等、緑と一体となった船型のデザイン とし、駅から建物エントランスまでのアプ ローチ沿いに連続させることで、賑わいの シークエンスを演出している。ピンポンフォ レストは、森の中の木漏れ日のデッキテラス で、自然と触れ合える学び場・遊び場、身 体を動かすリフレッシュの場として、海辺 の新たな里山空間を目指した。
海を感じる風景をつくる -ファニチャー・素材によるデザイン-
波モチーフの舗装パターン、アート ウォールやベンチ、船型のウッドデッキテラ ス、島に見立てた植栽帯など、海にまつわ る要素を各所に散りばめ、海への期待感や 賑わいを創出した。また耐潮性に留意した 植栽計画を行うと共に、クロマツを中心とし たエリアや、豊洲公園と隣接するエリアに は海からの風を視覚化する、オーナメンタ ルグラス類を中心としたグラスガーデンを 設けるなど、海辺らしい緑豊かな風景を創 出した。
緑豊かで多様な屋外空間が点在している このエリアが、豊洲の新しい風景として海 と街をつなぐ交流拠点やワーキングプレイ スとなり、多くの人々が集い、賑わいを生み 出し、愛着を持つような場所となることを期 待している。
豊洲ベイサイドクロス
所在地 東京都江東区豊洲二丁目2番1号
事業主 三井不動産株式会社、株式会社IHI
主要用途 事務所、物品販売業を営む店舗、飲食店、ホテル、サービス店舗、保育所、診療所、 地域冷暖房供給施設、自動車車庫、自転車駐車場
設 計
ランドスケープ/デザイン監修:鳳コンサルタント株式会社 環境デザイン研究所 (坂田健太郎・石井祥子・宮原克昇*)*元所員
実施設計:大成建設株式会社一級建築士事務所(山下剛史・林秀一郎)
建築/デザイン監修:光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所株式会社(入江茂樹・青木史弥)
実施設計:大成建設株式会社一級建築士事務所(渡邊岳彦・福地克之・勝篤史・前田有一)
照明/内原智史デザイン事務所(八木弘樹・佐々木楓子)
施 工 大成建設株式会社東京支店(植栽:愛樹園・イビデングリーンテック、水景:ウォーターデザイン)
竣 工 2020年10月
規 模 敷地面積/ 27,831.59㎡、建築面積/ 13,134.47㎡
仕 様 植栽/クロマツ、タブノキ、クロガネモチ、ホルトノキ、ナナミノキ、アラカシ、シラカシ、 カラタネオガタマ、オリーブ、ソヨゴ、ケヤキ、エゴノキ、オオシマザクラ、ウミネコザクラ、 サルスベリ、コナラ、クヌギ、エノキ、トウカエデ、アキニレ、イロハモミジ、ジューンベリーなど 舗装/石、コンクリート平板、ウッドデッキ、人工芝、ゴムチップなど…