出席者
井出敦史×加藤克彦×関さやか×田瀬理夫
(sum design) (tenjin studio) (sum design) (プランタゴ)
司会進行=丸茂 喬(マルモ出版代表取締役)
写真・資料提供=sum design、アトリエR 畑 亮*、編集部**
【Disscussion】
Kawawa nursery school relocation plan Exploring ways to utilize SATOYAMA
[attendees]
Atsushi Ide ×Katsuhiko Kato ×
(sum design co., ltd.) (Tenjin Studio Co., Ltd.)
Sayaka Seki ×Michio Tase
(sum design co., ltd.) (PLAMTAGO Inc.)
Moderator: Takashi Marumo [CEO of Marumo Publishing Co., Ltd.] Photos and Materials Provided by sum design co., ltd.、 atelierR Ryo Hata*、Editorial Desk**
子どもが自主的に遊ぶことができる環境づくりで知られる川和保育園の移転建替計画。新園舎と 周囲の森を含めた環境づくりは、園の保育理念が新しい場所と空間で今まで以上に力強く継続す るためのデザインであり、更には今後の園の保育活動を通じて、子どもが自主的に遊べる環境づ くりの重要性を広く知ってもらうための基盤のデザインでもある。自然地形に囲まれた敷地形状に 合わせて園庭を囲うように園舎を配置し、園庭や森と密接した関係を築いた。
豊かな環境の中、子どもたちに様々な居場所をつくりだす大らかなプラットフォームが完成した。 今回は、本移転計画に携わったチームが、完成に至るまでの経緯を話しあった。
井出敦史(sum design)
里山を残すことから始まった 川和保育園の移転計画
井出敦史(以下井出):川和保育園(以下川 和)の移転プロジェクトは、2005年に、川和 町にある本計画地の地主が所有の土地、約 15,000㎡(山林部約7,800㎡)の有効活用を 希望したことに始まりました。「里山を残す 計画を」との要望があった為、SUM建築研 究所所長である父、井出共治所長(以下井出 所長)と田瀬さんとで、地形を活かすよう に、二棟を空中廊下で繋ぐ集合住宅計画を 提案しましたが、地主との調整に難航して 実現には至りませんでした。
巡り巡って保育園移転計画に形を変えま したが、根幹となる当初のコンセプトは強く 受け継いでいます。
移転計画への転換点は2014年に地主から 保育園移転の相談を受けたことでした。移 転前の川和保育園(以下旧川和)の土地も地 主のもので、本計画地の道路を挟んだ対面 に位置しています。
地主は江戸時代からこの地域で有力な商 家で庄屋の役割も担う名家だったそうで、 川和の保育に共感し、地代は負担の少ない 金額だったと聞いています。
加藤克彦(以下加藤):ただ時代が変わり、 本来なら旧川和のあった土地は工業地域な ので工場等への賃貸の方が良い条件の為、 本計画地に隣接した当初の移転予定地への 移転を希望していました。当初予定地は日 当たりが悪く、団地も近いため旧川和として は保育環境が良くなく、合意を得るには至 りませんでした。
川和では園庭を中心とした保育を行うた め、園庭環境が大きな役割を担っています。 そのため、木々が大きく育った旧園の園庭 に代わるような既存環境の魅力的な土地を 移転先に提案する必要がありました。
そこで私たちは、地主の自宅があった場 所(本計画地)が相応しいと考え、「道路側に 商業施設などをつくり、奥の里山に囲まれ た土地を川和に貸し(里山も)管理してもら えば、収益を得られて環境の保全もできる のではないか」と地主に対して土地利用の 提案をしました。
井出:まず、園舎をつくり、商業施設、分 譲集合住宅(当初案)、福祉等の建設(当初 案)というように、それらを順番に建築して いきます。この方法は各計画面積が小さく、…