建築設計・ランドスケープデザイン=株式会社日本設計
文=山崎暢久(株式会社日本設計)
写真=山崎暢久(株式会社日本設計)、編集部*
AKASAKA INTERCITY AIR
Minato-ku, Tokyo
Architecture & Landscape design by NIHON SEKKEI,INC.
Text by Nobuhisa Yamazaki [NIHON SEKKEI,INC.]
Photos by Nobuhisa Yamazaki [NIHON SEKKEI,INC.], Editorial Desk*
緑が起点となった街づくり
2017年9月にオープンした超高層複合ビル 「赤坂インターシティAIR」は、10年を超す歳 月がかけられた再開発事業によって生まれ た。超高層ビルの足元に広がる「インターシ ティガーデン」の、あふれるばかりの緑は、デ ザインとして最後に付け加えられたものでは ない。事業が始まった当初から、街づくりの 中心テーマとされ続けたからこそ実現したも のである。
大通りに面したにぎわいエリアと、その奥の 高台に広がる閑静な住居エリア、二つの側面 をもつ赤坂という場所にふさわしい街づくり を目指したこと、また、屋外で時間を過ごす新 しいライフスタイルの価値観が先取りされた ことも、計画当初より緑が第一に取り上げら れた大きな理由にあげられる。しかし何より、 そのような読み込みに先行して、街に訪れる 人にまず緑を目にしてほしい、街ゆく人々を つつみこむように、心和む木々草花にあふれ た場所をつくりたいという、事業者の熱意こ そが、この景色を生む原動力となった。
緑に対する思いは、再開発事業、都市計画、 建築計画、ランドスケープ計画に引き継がれ た。2009年、近隣地権者、事業者と協同で 「赤坂・虎ノ門緑道」協議会を発足。これは、エ リアの共有財産として緑を位置づけ、既存の 民間敷地、事業計画、区道それぞれの緑を緩 やかに結び、個々の事業単体では達成できな い、スケールの大きな緑の街づくりを目指し たものである。
緑道空間は、計画を進める中で一貫した共通 言語となり、思考の起点となった。超高層の 配置は、緑道と、そこにつながる緑地空間を 充実させることを優先し、六本木通りに沿っ た西北側に寄せられた。敷地の中心は、居心 地の良い緑にゆずられたのである。敷地内南 辺を東西に貫く延長200mの緑道空間はこう して生まれ、区道歩道とも一体的に整備をす すめ、3列並木に覆われた復員10メートル余 のオープンスペースとして結実した。
建築低層部を覆う緑の小山は、施設のオフィ スワーカーだけではなく、緑道空間と繋がり 彩りを加える空間として大きく確保された。 緑は、ここを訪れた人々の記憶に刻まれ、永 く親しまれる存在となるよう、土地の歴史を 振り返る素朴なアイデアをベースとして、 木々本来の魅力を引き出すことに注力した。 植物本来の躍動的な枝姿をもった樹木が、寄 り添うように共存し、森として調和する一群 の景色に、緑に期待される心地よさという価 値を求めたものである。
赤坂の新しい緑は人々に徐々に浸透し、オ フィスワーカーや近隣住民などが集い、憩う 景色が生まれつつある。
【木々が寄りそう景色】
自然の木々は、まるでお互いに譲り合うように場所を分け合いながら枝 を伸ばし、全体にゆったりと調和した、一群の美しい姿に落ち着く。表 裏のない木を並べるのではなく、森の将来像をイメージしながら、片枝 でも樹種本来の個性をもった木を1本1本選び、心和む穏やかな景色と なるよう、寄り添うように組み合わせ配植した。
【土地の構造的価値を水と緑で再生する】
高台に囲まれたこの地には、かつて江戸の貯水池として人工の「溜池」がつく られた。上水が開発されるに伴い溜池としての機能は失われ、少しずつ埋め 立てられて明治期には小川だけが残されたが、初期の溜池南東を縁取った形 状は、敷地の形として現在に残されている。敷地南東角の交差点は、江戸名 所図会にも描かれた場所である。溜池の水面越しに日枝神社の森を望む交通 の結節点は、江戸の人々が集い、憩うオープンスペースであった。場所の記 憶をたどるように水と緑によって土地の構造的価値を取り戻すことをねらった。 敷地南東
赤坂インターシティAIR
所在地 東京都港区赤坂一丁目8-1
所在地 東京都港区赤坂一丁目8-1
主要用途 事務所、住宅、コンファレンス、商業施設
設 計 株式会社日本設計
施 工 株式会社大林組
仕 様 【舗装、側溝など】大林道路【植栽】日比谷アメニス【石材】小林石材 【ブロック舗装】東洋工業【透水舗装】佐藤渡辺【再生木デッキ】フクビ 化学工業【水景システム】ベルックス【スリット側溝蓋】日出水道機器株 式会社【ベンチ】コトブキ【照明器具】山田照明【樹名札】越井木材工
竣 工 業
規 模 竣工 2017年8月
植 栽 規模 敷地面積/ 16,088.32 ㎡ アオダモ、アオハダ、アブラチャン、シデ類、モミジ類、梅、サクラ類、 エゴノキ、カツラ、カキノキ、ヤマグリ、クヌギ、コナラ、ヒノキ、サワラ、 カゴノキ、ウラジロガシ、ヒメタイサンボク、ネムノキ、ミズキ、ヒトツバタ ゴ、シダレヤナギ、カワヤナギ類、マンサク、マルバノキ、落葉ツツジ類、 シロモジ、セイヨウカマツカ、ヤマボウシ、ポンカン、ナツメ、モウソウチ ク、ムクゲ、サンシュユ、ニシキギ、コデマリ、カシワバアジサイ、シャリ ンバイ、常緑ツツジ類、トサミズキ、ニワウメ、ハクサンボク、ミツマタ、…