2016 長崎まちなみワークショップ
数多くの世界遺産を持つ長崎県の国立大学 長崎大学環境科学部では、平成27 年度よりカ リフォルニア大学バークレイ校のランドス ケープ学科と連携し、観光都市としての長崎を 見直す一週間にわたるランドスケープデザイ ンのワークショップを行っている。今年平成28 年は、バークレイ校からリンダ・ジュエル教授 他4 人の大学院生が参加し、13 名の長崎大学 生と共に、世界的遺産である平和公園と軍艦島 を訪れ、そのランドスケープを見直した。両社 とも、世界に知られるメモリアルであるが、観 光地としての開発が十分なされていない。特に 平和公園に関しては、前回平成27 年のワーク ショップの発表で「原爆の甚大な被害を伝える 世界的な記念碑であるにもかかわらず、あまり にもインパクトが少ない」という問題が既に指 摘されている。
長崎の平和公園は原爆ドームを中心に強い 軸線で広場と資料館が結ばれている広島平和 記念公園と対照的に、平和公園が丘の上に位 置し、隣接する爆心地公園と原爆資料館と視覚 的にも位置的にも分断されている。被爆マリア 像で知られる浦上天主堂をはじめ、多くの被爆 遺構が平和公園周辺に多く点在するが、住宅 地の中を細い道路が複雑に入り組み、なかなか 平和公園を訪れた観光客が到達することが難 しい。しかし長崎の被爆遺構は、原子爆弾の危 惧を鼓吹し、反核兵器運動を象徴する世界的メ モリアルでなくてはならない。
平成28 年長崎まちなみワークショップは、 長崎市役所の関係者と共に平和公園とその周 辺の現状を視察し、問題点を確認し、新たなラ ンドスケープデザインを平成28 年5 月27 日、 オバマ大統領が広島を訪れた同日に発表した。
「平和の巡礼」ランドスケープ
現在、長崎の原爆資料館には、原爆による被 害の実相を物語る資料や被爆者の証言ビデオ などが展示され、原子爆弾の悲惨さ、凄惨さを 良く伝えている。資料館は追悼施設である国立 長崎原爆死没者追悼平和祈念館と連絡通路で 結ばれ、訪問者を犠牲者追悼の気分にいざなっ ている。しかし、訪問者は資料館だけではなく 近隣の原爆遺構にも訪れ、原爆の傷跡に実際 に触れるべきである。例えば、平和公園から望 める浦上天主堂は、1914 年に「潜伏キリシタ ン」たちによってかつて「絵踏み」の行われた 地に建設された、日本キリスト教布教の歴史の 中で重要な教会である。爆心地から約500mに 位置していたために原爆により壊滅し、参堂し ていた信徒30 数人が全員即死したほか、1 万 2000 人の信徒のうち8500 人が被爆死した。
日本キリスト教史におけるシンボル的存在で ある浦上天主堂は、「祈りの長崎」と言われる 起源でもある。つまり、長崎における強烈な被 爆のメッセージは、爆心地公園だけではなく、 浦上天主堂とそこで祈りを捧げる人々に何が 起こったのかを見て初めて理解されるのであ る。現在はこれらの歴史的遺構を訪れるルート は特に定められていないが、初めに資料館を訪 れて被災に関する知識を得ることは、遺構の意 義をより深く理解することの必須条件である。 そこで平成28 年長崎まちづくりワークショッ プでは、資料館をスタートとして歴史的遺構を 訪ねる一連の回遊ルートを整備し、それを「平 和の巡礼」と名付けた。
Nagasaki Landscape Workshop 2016
St a r t ing in 2015, t h e De p a r tme nt of Environmental Study at Nagasaki University, the national university in Nagasaki, where there are many UNESCO heritage sites, has organized an annual one-week international landscape design workshop in conjunction…